歯が痛い

先生、虫歯の治療でキュイーンという音を立てずに治療が出来る秘密兵器があると聞いたんですが。
痛くなくするというよりも、違う削り方のできる機材があります。
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虫歯って、どうして虫歯になるのかということを知っておくだけでも十分武器になると思うんですよ。
なのでやみくもに戦わず、敵を知り己を知れば百戦危うからず!なので学習しましょう!

どうして虫歯になるのか?

1.「ミュータンス菌」が酸を作る

口の中の細菌数は、歯をよく磨く人でも1000億個生息しているといわれています。
そのうち、虫歯の原因となる酸を作る「酸産生菌」が70~80%を占めると考えられ、その代表が「ミュータンス菌」です。
ミュータンス菌は、飲みもの食べ物の糖分を摂取・分解して「酸」を作り出し、歯を溶します。
一方、人の唾液には酸を「中性」に近づける働きがあり、またカルシウムやリン酸を含み、これらの作用で溶かされた歯は修復されています。(再石灰化)
しかし、甘いものを続けて食べていたり歯みがきがうまく出来ていないと、中性に戻せない&再石灰化が追いつかず、歯が溶けた状態が続く→放置すると歯が崩壊→虫歯となります。
2. 虫歯をさらに奥まで拡大させる「ラクトバチラス菌」

ミュータンス菌と同様に、強い酸を作り出すのが「ラクトバチラス菌」です。
ラクトバチラス菌は、歯の一番表面にある「エナメル質」の「ツルツル」した部分には生息できず、ミュータンス菌が溶かして出来た歯の「ザラザラ」した部分や奥歯の溝/詰め物や被せ物のすき間などに生息します。
酸素が無くても生きられるため、酸素の少ない深い虫歯の中でも酸を作り、さらに深く虫歯を拡大させます。
初期の虫歯は痛くありません。
しかし、日常的なケアを怠ると悪化し、やがて痛みを伴うようになります。
虫歯は早い段階で治療を開始すれば、比較的簡単な処置で治癒します。
虫歯の兆候があればお早めに受診ください。
3. こんな症状(状態)は歯が溶けているサイン

- 歯の表面が黒ずんできた
- 歯の表面に穴が空いている
- 甘いもの、冷たいものがしみる
- 熱いものがしみる
- 歯がズキズキ痛む
- 食べ物がよく詰まる
- 歯医者に1年以上行っていない
4. そのほかの要因
虫歯は、次のような条件が揃った場合になりやすいと考えられています。
A. 歯質
虫歯になりやすい歯質、歯並び、咬み合わせになっていると虫歯になりやすくなります。
歯質は一人ひとり異なり、虫歯のなりやすさを左右します。
歯質を強化するには、歯の再石灰化を促すフッ化物(フッ素)を利用、だ液の分泌を促すためによく噛むことが効果的です。
B. 糖分
糖分の多い間食が増えると、口の中が酸性になり、虫歯になりやすくなります。
間食を控える、糖分の少ないおやつを選ぶよう送るように心がけましょう。
虫歯の原因菌が活発に活動させたないために、キシリトールの入っているガムを噛む、フッ素入り歯磨き粉を使う手もあります。
C. 汚れの付着時間が長い
口の中で酸が作られるまでには、少し時間がかかります。
甘いものを食べたら早めにうがいや歯みがきをして、虫歯の原因の「酸」を取り除くことが効果的です。
また、歯ブラシだけでなくデンタルフロス、糸ようじ、歯間ブラシ、タフトブラシなどを使うこともおすすめです。詳しくは歯科衛生士に遠慮なくご質問ください。
虫歯の進行と治療法

虫歯が出来るメカニズム、分かりました。ところでよく歯科検診でもらってくる紙に書いてある「Cなんとか」ってどういう意味なんですか?
おお、よくぞ聞いてくれました!そこも含めて下記で説明します。

1. 自覚症状がなく、歯科検診などで発見される「CO~C1」
COごく初期の虫歯

症状:
COは「シーオー」と読み、「C」はcaries(カリエス:虫歯)の頭文字で、「O」はobservation(オブザベーション:観察)の頭文字です。
したがって「CO」は、虫歯になっているものの、今のところ治療の必要がない要観察歯となります。
虫歯菌が出す酸でエナメル質が溶かされ始めている段階で、歯の表面が白く濁って見えますが、まだ穴は空いておらず、痛みなどの自覚症状もありません。
治療方法:
適切なブラッシングやフッ素塗布により、歯の再石灰化を促すことで治癒します。
食習慣の改善やブラッシングの指導も致します。
2. エナメル質に小さな穴が空いた虫歯「C1」

症状:
エナメル質がさらに溶かされ、小さな穴が空き、歯の表面は黒ずんで見えます。
冷たいものを食べた際「しみる」などの自覚症状が現れますが痛くはないので、自分では虫歯かどうかの判断がつきにくい状態です。
この段階ならば、歯を削らずに治すことができたり、削る場合でも麻酔を使わずに削る量を最小限に抑えて治療ができたりします。
このC1の段階で早期に治療を受けることが理想です。
治療方法:
虫歯を最小限に削り、白い歯科用プラスチック(レジン)などを詰め、表面をなめらかに整えます。
またプラークコントロール、効果的な歯みがき、食習慣の改善、フッ素を塗る、お子さんの場合シーラントを奥歯に詰めるなどの治療も視野に入れます。
3. 歯の内部(象牙質:ぞうげしつ)まで進行した虫歯「C2」

症状:
虫歯がエナメル質の下の「象牙質」まで達している状態です。
虫歯の部分は黒く見えます。
冷たいものや甘いものを飲食したときに、しみる・痛むなどの自覚症状が現れます。
この段階から進行が早くなるため早期の治療が重要になります。
治療方法:
虫歯を削り取り、詰め物で補います。
症状によっては局所麻酔を使用します。
虫歯が広範囲でプラスチックを詰めるだけでは足りない場合は、型を取って作製するインレー(詰め物)や被せ物によって歯の機能を回復します。
詰め物・被せ物などの修復物の材料には様々な種類があり、保険範囲のものと保険外のものがあります。当院では身体に優しく、審美性の高い材料を種類豊富にご用意しています。
4. 熱いものがしみる、激しい痛みがある「C3」

症状:
むし歯が歯の神経(歯髄:しずい)まで進行した状態です。
冷たいもの、甘いものに加え、熱いものでもしみたり、刺激を与えなくても激しい痛みが生じたりする場合があります。
治療方法:
炎症が起きている部分と痛んでいる神経を取り除き、神経が入っていた歯の内部(根管:こんかん)を消毒する「歯の根の治療(根管治療:こんかんちりょう)略して根治(こんち)」を行います。
→歯の根の治療についてはコチラ
この段階で治療すれば、歯自体は残せることが多いです。
根管治療後は土台(コア)を立てて、クラウン(かぶせ物・差し歯)を被せます。
→白いかぶせ物・詰め物にしたいについてはコチラ
→実際に白い詰め物・かぶせ物を作っている歯科技工士のインタビューはコチラ
5. 長期間継続していた強い痛みが治まり、放置している「C4」
C4歯根まで進行した虫歯

症状:
歯根まで進行した虫歯で、歯の大部分は溶けて崩れた末期の状態です。
この段階では痛みを感じる神経が死んでいるので、痛みを感じません。
しかし放置すると歯根部に膿がたまり、激痛を生じやすくなります。
麻酔も効きにくく、歯を残こすことも難しくなります。
治療方法:
ほとんどのケースで「抜歯」が必要となります。
抜歯後は、ブリッジや入れ歯、インプラントなどで歯の機能回復を図ります。
A. ブリッジ(連続した被せ物):
ブリッジは、失ってしまった部分の歯を補うために、その両隣の歯を土台にして、連続した被せ物を装着する治療です。
ご自分の歯と同じように噛むことができますが、ブリッジを固定するため両隣の歯を削る必要があります。
このブリッジには、保険適用の金属製のものや適用外のセラミック製など、様々なものがあります。
自費は見た目が美しいだけではなく、持ちがいい、汚れが付きにくいなどのメリットもあります。
→実際に自費のセラミックブリッジを作っている歯科技工士のインタビューはコチラ
B. 入れ歯:
比較的短期間での作製が可能ですが、硬い食べものや、粘り気のある食べ物では、しっかり噛むことができず違和感が生じることがあります。
慣れるまでの時間が必要です。
当院では相模原市にある入れ歯専門歯科技工所のリンゴも食べられる超精密入れ歯「KGKデンチャー」の取り扱い、また無料入れ歯相談会も実施しております。
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C. インプラント:
ご自分の歯と同じように噛むことができますが、インプラントを埋め込む外科手術が必要となるため、内科疾患や重度の歯周病がある方は適応外になることがあります。
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秘密兵器登場!【アクアケアを用いたむし歯治療】エアーアブレージョン

酸化アルミニウムの粉末と溶液を強圧でむし歯に吹き付けることで、歯をドリルで削らないで虫歯部分のみを除去する事が可能な、ヨーロッパの歯科治療で使用されている機器です。
また、最小限で削っていくため、麻酔を用いずに治療を行えることもあります。
ただし、粉末がチクチクとすることがあります。
また、むし歯治療以外にも古いセメント、シーラント、着色の除去も行うことができます。
C0-C1の判断の付きづらい虫歯、患者様自身で着色が気になるなど迷っているときに選択しやすい治療となります。