歯ぐきから血が出る

歯ぐきから血が出る、ということは歯周病、ということですよね?
はい、でも早めにお掃除していくと、良くなります。
歯垢が歯石になるんですけど、その歯石にも2種類あって、縁上歯石(えんじょうしせき)と縁下歯石(えんかしせき)があります。


えんじょう?炎上? えんか?演歌?
音だけ聞くとそうなりますよね。(笑)
縁下(えんか)は、歯と歯ぐきの境目より下にある、歯ぐきの中に入っている歯石。
縁上(えんじょう)は、目に見えるところにある歯石です。縁の上か下か、ということですね。
縁下歯石は取ると痛いんですけれど、1回取ったら明らかに歯ぐきの状態が良くなることを実感してくれた患者さんがいて、継続して通ってくださっています。
ちょっとファンになってもらったりして。(笑)
よりいい状態をキープするための色々な「含嗽薬(がんそうやく)」も売っています。


含嗽薬って何ですか?
当院では殺菌効果の期待できる次亜塩素酸を約0.05%含む「電解次亜水」と、歯科医院専売での「ハビットプロ」があります。
患者さんのお口の中の状態によっておすすめするものを分けています。
どちらも、歯周病に対して効果は高いと思いますね。
歯ブラシも「CURAPROX」を取り扱っています。
患者様から使いやすいというお声はよくいただきます。



他の医院さんの取材の時に試させていただいて、すっかりそれからこの歯ブラシのファンです。
歯周病とは
歯周病は、歯と歯ぐきのすき間(歯周ポケット)から歯周病菌が入り、歯肉に炎症を引き起こし、歯を支える骨(歯槽骨:しそうこつ)を溶かす病気です。
歯を失う原因として、実は虫歯よりも多くの割合を占めています。
炎症が歯肉だけの状態を「歯肉炎」、炎症が歯槽骨や歯根膜(しこんまく:歯と歯を支える骨の間にある膜)にまで広がっている状態を「歯周病(歯槽膿漏:しそうのうろう)」といいます。
むし歯と違い痛みがなく、気づかないうちに進行する特徴があるためサイレントディジーズ(静かなる病)と呼ばれています。

あなたの歯は大丈夫ですか?歯周病のチェックリスト
- 毎日の歯みがきで歯ブラシに血がついたり、すすいだ水に血が混じる
- 朝起きたとき、口の中がネバネバしている
- 口臭がキツイ(継続する口臭は要注意。周囲のご家族などが知らせましょう)
- 以前に比べ歯が長くなった気がする
- 歯ぐきが赤く腫れている
- 歯ぐきを押すと血や膿が出る
- 歯と歯の間に食べ物がつまることが増えた
- 硬いものを食べると歯が痛い
- 歯がグラグラしている
- 歯が浮いているような感じがする
- 歯並びが変わった気がする
このような症状がある場合、歯周病の可能性があります。
早めの受診をお勧めします!
歯周病の原因
歯周病の主な原因は、歯と歯ぐきの間にたまるプラーク(歯垢)です。
プラークは、増殖した多くの種類の「細菌のかたまり」です。
ブラッシングが行き届かない、砂糖を過剰に摂取したりすると、細菌がネバネバとした物質を作り出し「バイオフィルム」(排水溝のヌメヌメと同じ仕組み)という粘膜性の膜を形成します。
歯の表面のバイオフィルムは、歯みがきと定期的な歯のクリーニングでコントロールが可能ですが、深い歯周ポケットがあるとそこにたまり、細菌が出す毒素が歯周組織を刺激し、慢性的な炎症反応があるのが「歯周病」と呼ばれる状態です。
プラークは2~3日で「歯石」に変化し、歯の表面に強固に付着します。
歯石自体には病原性はありませんが、プラークの格好の住家となります。
歯石はブラッシングだけでは取れません。
歯周病の進行と症状
歯周病は一般的に次の段階を経て進行していきます。
健康な状態

薄いピンク色の歯肉で、歯と歯ぐきのすき間(歯周ポケット)がなく引き締まっています。
ブラッシング時に出血しません。
軽度歯周病

歯ぐきに炎症が起き、歯周ポケットが深くなります。
痛みはまだありませんが、ブラッシング時や硬いものを食べると出血することがあります。
<見た目の状態>
赤く歯ぐきが腫れあがり、歯と歯肉との間にプラーク(歯垢)がたまります。
中度歯周病

歯ぐきだけではなく、歯を支える歯槽骨(しそうこつ)にも炎症が進んだ状態です。
炎症が慢性化し骨が溶けはじめます。
歯周ポケットが深くなり歯がグラつきはじめます。
口臭もあり、歯が浮いたような感じもあります。
<見た目の状態>
全体的に歯肉が赤く腫れあがり、変色がひどくなります。
重度歯周病

歯の根を支える骨が溶けています。
歯周ポケットがかなり深くなり、歯のグラつきも、歯根が露出し、さらにひどくなります。
口臭がきつく、膿も出て、放っておくと歯が抜け落ちてしまいます。
<見た目の状態>
歯肉は赤紫色で、歯と接している歯肉がさらに腫れあがります。
歯と歯の間が広がり、食べ物もよく詰まるようになります。
歯周病の治療
歯周病の治療は「歯周基本治療」「歯周外科治療」「口腔機能回復治療」「メンテナンス※」に分けられ、ステップごとに再度の検査(再評価)を挟み、治療効果を確認します。
まずプラークや歯石を取り除く「歯周基本治療」がメインになります。
歯周病の原因であるプラーク(歯垢)を除去しなければ、歯周病の進行を食い止められません。
患者様ご自身が行う歯磨き「セルフケア」と、歯科で行う専門的な「プロフェッショナルケア」の両輪で進めます。
歯肉炎や軽い歯周病なら「歯周基本治療」だけでも治ることもあります。
一方、それだけでは取り除けない歯肉の奥にたまった汚れ(縁下歯石)は、「歯周外科治療」が検討されることもあります。
治療後、再検査で改善が確認できればメンテナンスに移行します。
改善が認められない場合は再治療となり、治療と検査を繰り返します。
※メンテナンス:歯周病などを再発予防のために、口内の健康な状態を維持していくための定期的な治療。歯のクリーニング
歯周内科治療
歯磨き指導、歯石除去、歯周外科治療を中心とした歯周治療が基本ですが、外科治療後に炎症症状の再発等を改善するために試みられている治療が「歯周内科治療」です。
治療には4つポイントがあります。
- 位相差顕微鏡での菌の確認
- 抗菌薬の内服
- ハリゾンシロップを用いた歯磨き
- 除菌後の歯石除去
下記の症状の改善が期待できます。
- 噛んだときの痛みの改善
- 歯ぐきの腫れ改善
- 歯ぐきからの出血、膿の改善
- お口の中のネバつきの改善
- 口臭の改善(歯周病が原因の場合)
- 歯の動揺(グラグラ)改善
- 歯のしみる感じ改善
お薬をお渡しして治療したり、特別な歯磨き粉で歯磨きをしていただくこともありますが、使えば治る、飲めば治るというわけでもありません。
日々の歯磨きと定期的な通院とセットで治療していきます。

殺菌水「次亜塩素酸電解水(じあえんそさんでんかいすい)」取り扱いあります
当院では含嗽薬(がんそうやく:うがいぐすり)に弱アルカリ性の除菌洗浄水を用いています。
従来までのうがい薬や洗口剤に比べ、次亜塩素酸電解水は「バイオフィルム」を破壊できるので、バイオフィルムの中のむし歯菌や歯周病菌を破裂させてほぼ除菌することができます。
そして、お口の中の良い作用をする常在菌や身体への影響がほとんどないのも大きな特徴です。
また抗生物質とは違い、使用することによる耐性菌の出現も抑えられるのが特徴です。
予防歯科
歯医者は、歯が痛くなった時やむし歯の治療をしたりする時だけに行くもの、と思っていませんか?
もちろん、お口のトラブルに気づいたらできるだけ早く歯科を受診することが大切です。
しかし、おじいちゃんおばあちゃんになっても健康なお口を保ちご飯をおいしく食べるためには、病気を未然に防ぐ「予防」と「メンテナンス※」が重要です。
歯を失う原因のほとんどは、むし歯や歯周病です。
つまり、これらを予防すれば歯を失うリスクを大幅に軽減できます。
当院では定期的な歯のクリーニング(予防歯科)の受診をおすすめしています。
全身の健康維持とともに、予防歯科を実践して生涯ご自分の歯でおいしく食事ができるようにしましょう。
※メンテナンス:むし歯や歯周病などを再発させず、口内の健康な状態を維持していくための定期的な治療
歯科で行うプロフェッショナルケア
「プロフェッショナルケアって誰がするの?」
歯のケアのプロフェッショナルは、歯科衛生士です。
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プロフェショナルケアは、歯垢(しこう:プラーク)や歯石の除去をはじめ、口腔内診査、歯みがき指導などを行います。
PMTC(プロによるクリーニング)
PMTCとは、プロフェッショナルケアの専門家「歯科衛生士(スタッフページへテキストリンク)」が専用の機器を使用して歯を磨き上げる「Professional Mechanical Tooth Cleaning」の略称です。
毎日の歯みがきでは落としきれない歯の汚れや「バイオフィルム」を専門の器具と専用のペーストを用いて、歯面とその周辺の歯周組織から徹底的に除去します。
このクリーニングによって、汚れの再付着の予防も期待できます。

スケーリング(歯石取り)
歯石は歯垢(プラーク)が石灰化してできた硬い塊で、歯みがきなどのご自身でのセルフケアでは取れません。
歯科では「スケーラー」という専用の器具を使用し、歯の表面や歯周ポケット(歯と歯ぐきの隙間)内にある歯垢や歯石を取り除きます。

フッ素塗布
フッ素塗布は子供だけでなく、大人のむし歯予防にも効果的です。
フッ素(フッ化物)は「初期のむし歯を治す」「歯のエナメル質を強くする」「むし歯菌の活動を抑える」という効果が期待できます。
定期的なフッ素塗布で歯をコーティングすることによって、むし歯を予防します。
3ヶ月に1度程度行うことが理想です。
